ワールドカップ選手名鑑は「footballista」を買おう!三誌を雑レビューしたぜ。

2018 ロシア・ワールドカップも開幕間近! 各誌から選手名鑑が発売されていますが「どれを買ったらいいの?」
まるでウイイレとFIFAによるサカゲー戦争のように、お悩みの方もいるでしょう。

私もその一人だったのですが、この際ぜんぶ買ってレビューしてみよう!
ということで『エル・ゴラッソ』 『サッカーマガジン』 『footballista』三誌の選手名鑑を購入。
※ 6月7日出版予定『ワールドサッカーダイジェスト名鑑』も予約済み。
名鑑

なげーよ!という方のため、結論を先に言いますと―――
footballista(フットボリスタ)の圧勝です!

目次と試合日程の見やすさ、試合ごとの放送局、各チームの戦いぶり、攻守別の戦術分析、スタジアムや審判名鑑、さらにアンドレア・ピルロのグループ分析もあって充実度がすごい。

これを超える選手名鑑は、なかなか作れないでしょう。

あえてケチをつけるなら、5月28日出版なので掲載メンバーがしぼりきれていないぐらい。(落選したドイツのサネ、ベルギーのナインゴランが登録メンバーのように掲載)
しかし、情報量と見やすさ満点なので不満はほぼありません。

ご購入希望の方はこちらからどうぞ。値段は6月初旬現在
※ アフィリエイト入れていないので、私にお小遣いは入りません!(笑)

Rakuten 849円(税込)
https://books.rakuten.co.jp/rb/15490267/
Amazon 1300円前後
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07BZBCWMZ/

さて本題のレビュー、出版日順に参りましょう。

まずは「2018 ロシアワールドカップ選手名鑑 – サッカー新聞 エルゴラッソ特別編集」
エルゴラ表紙
先に評価を言いますと、ひどいです、酷評です

5月21日に出版され、全誌の中でもっとも締め切りが早かったと予想されます。
まずそこが痛い。

メンバーをしぼりきれず「各チーム30人の大所帯」で掲載されています。
※ 画像はサンプルとして公開されているものです。
エルゴラ1あ
エルゴラ2
選手一人のスペースが大きく、メンバー紹介だけで4ページを割いてしまっています。全チームです。
後で紹介しますが、他誌は見開き2ページだけで全メンバーを掲載しており、ページをめくらず一目でチーム構成が把握できるのです。

さらにエル・ゴラッソは主力とサブクラスの線引きがなく『誰が主力で誰がサブなのか』も分かりにくい。(他誌はされている)

そしてありえないのが、日本代表のフォーメーション図とメンバーリストに「堂安律」が載っていることです。
(宇佐美貴史のサブとして右サイドに掲載)

なぜ、未招集の選手がまるで準レギュラーのように書かれているのか。
大活躍した彼を呼んでほしいのは私も同意ですが、それでも掲載はおろかフォーメーション図にまで載せるのはどう考えてもおかしい。
サッカーを知らない人が見たら「堂安ってワールドカップ出るんだ!」と勘違いするのは明らかです。

全体的にレイアウトも雑で、目次は見にくく、試合日程も放送局が書いていない大失態。(各チームのページには書いてある)
エルゴラ目次※ エル・ゴラッソの目次ページはサンプル公開されていません。掲載に問題があれば削除いたします。

こちらは選手個別の紹介画像
エルゴラネイマール選手紹介下の経歴部分と各予選結果に余白が多く、スペースを無駄にしている感が伝わってきます。若手はほとんど真っ白です。
(他誌は工夫され、余白がない)

そして表紙にある通り本誌は「データ」が売りの一つ。
あの有名なOpta(オプタ)から提供されたデータをもとに、もっともすぐれたプレーを顔写真の下に紹介しています。

これが落とし穴で、画像のようにネイマールがパサーのように紹介されてしまったりするのです。
確かに彼はパスも上手いですが、基本はドリブラーのはず。

この原因として、彼は1試合でものすごい回数のドリブルを仕掛けて、ロスト(奪われること)も多いんです。
そのため実際の成功率は低く、おそらくOptaのデータ上ではパス精度の方が上回ったのでしょう。

同様に、リオネル・メッシパウロ・ディバラも得意技キーパスと紹介されています。
もちろんすぐれたデータなので否定はしませんが「サッカーを知らない、今からサッカーを勉強する!」という方が見たら、この選手はパスが一番得意なのだと勘違いしてしまう可能性もあります。

スペイン代表DFナチョ・フェルナンデスに至っては、データ不足のためドリブル100%という驚異的な数値を叩き出しています。

前者3人の魅力はパスでしょうか? ナチョは超ドリブラーでしょうか?
違いますよね。

さらに落とし穴は続きます。
実はこれ、大陸予選の試合データを集計したものなのです。

つまり、予選を免除された開催国ロシア代表のデータはありません。

データが売りなのに、データがない。
そのため、ロシア代表の予選結果とデータ部分は白紙。

「ロシアなんかどーでもいいよww」

という意見もあるでしょう。
しかし、これが2014ブラジル大会、2006ドイツ大会、はたまた2002日韓大会だったら?
優勝候補、そして我らが日本代表もスカスカのデータで掲載されてしまうことになります。

エル・ゴラッソ編集部がロシア代表をどう思っていたのかは、分かりません。

ただ、もしブラジル大会だったら、同じ状態で出版したでしょうか。
開催国に対して、扱いが悪すぎます。

そして本誌は、サッカー識者の西部謙司さん、YoutuberのLeo the footballさんらが参加され、彼らの戦術分析も売りの一つ。

しかし、恐れずに言わせてもらいますが、これまた雑なものです。

「このチームは、こうした方がいいんじゃないか」「僕ならこうします、それで戦術はこうします」
「この選手はワンツーがキレイでね」「この選手もいいよねー」

と、なかには分析じゃなくただの雑談や感想、自論を展開する場となっているチームがちらほら。
正直、彼らの意見に興味はありません。

知りたいのは、チームごとの戦術はなんなのか、予選の戦いぶりはどうだったのか、今までの代表とどう違うのか。
ポゼッションやカウンター、攻守のシステムはどうなっているのか。などです。

しかも前述したように締め切りが早かったので「その選手は23人に選ばれたの?」という疑問もあります。
自分で調べるしかありません、選手名鑑なのに…

総評すると、決してオススメできるものではありません。
堂安律やナチョを筆頭に情報がいい加減なので「これからサッカーを勉強したい方」は読んじゃだめです。

なぜ4年に一度の名鑑で、こんな雑な出来にしてしまったのか。
ワールドカップとは別に「30人の選手が分かる国別名鑑」として見れば優秀かもしれません―――

続いて「2018 ロシア・ワールドカップ選手名鑑 【特別付録】WCCFオリジナルEXカード (サッカーマガジン7月号増刊)」
サッカーマガジン表紙
5月24日出版で、メンバーリストは多少しぼられています。
誰が予備登録で、誰が直近の招集でメンバー外なのかも一応は表記されている。
サッカーマガジンブラジルしかし、予備登録が分からないチーム、たとえばベルギーは35人に『濃厚』マークが付いていて、まるで35人がレギュラー格のような印象を与えてしまう。
これは雑すぎる。

右下の戦績は、エル・ゴラッソの予選成績ではなく、直近10試合の結果にすることで、余白対策ができています。
ただ肝心の内容が薄い。各チームの分析はあれど、メンバー紹介や予選の成績を振り返る程度。

優勝候補7か国の個別解説も後半にありますが、システムなどの深堀りはせず「サッカーを見てきた人」なら誰でも知っている内容。

サッカーマガジンならではの売りとしては、メッシ、ネイマール、クリスティアーノ・ロナウドらを特集した記事です。
彼らの人間性や功績がよくまとめられていますが、選手名鑑と一緒くたにして出版すべきだったのかは疑問。

おかげでページ数が増えて、全誌中もっとも分厚い名鑑となっています。
名鑑以外のネタでです。

総評すると、あまり特筆すべきところがない普通の選手名鑑です。
WCCFのカードが付録なので、プレーヤーの方にはオススメかも。

ちなみに、レロイ・サネのカードです…

―――

続いて本命「footballista 2018 FIFA WORLD CUP RUSSIA SPECIAL GUIDEBOOK (月刊フットボリスタ 2018年7月号増刊)」
フットボリスタ表紙
フットボリスタ目次 (2)目次は見やすく、試合日程も放送局と同列に掲載されてテレビ視聴がしやすくなっています。

エル・ゴラッソより7日おそい5月28日出版で、メンバーリストもある程度は厳選。
もちろん堂安律の名前はどこにもありません。
フットボリスタチーム見開き2ページで23人が分かり、当落線上の選手は右端に小さく掲載。
こちらも直近10試合の結果にすることで、余白対策は完璧。

ベースキャンプ地から各試合会場への移動距離、フォーメーションやキッカー、攻守バランスなども簡単に紹介しています。

そして最大の売りは、各チーム攻守ごとの戦術解説
フットボリスタ解説攻撃時、守備時でどんなシステムを使っているのか。その切り替え時に、どんな動きをしているのか。
なぜそのシステムに行き着いたのか。どんな流行に影響され、どのように変化したのか。

といった細部まですごく丁寧に説明されていて、充実度が段違い!

驚くべきは、パナマ代表チュニジア代表など、日本では誰も興味なさそう(失礼)なチームまで詳細に分析されていることです。
今まで予備知識が得られなかった弱小国の試合でも、これを読めばきっと何倍も楽しめるでしょう。

さらにミニコーナーとして「35人の審判名鑑」「スタジアム名鑑」「アンドレア・ピルロのグループ展望」
などオリジナルのサブコンテンツも用意。

総評すると、これ以上ないぐらい完璧な出来です。迷わずこれを買いましょう。
他の選手名鑑を買う意味がどこにあるのか、それを考えるのは難しいほど。

あえてケチをつけるなら、やはりメンバーリストが絞り切れていないことです。
サプライズ落選したドイツ代表サネ、ベルギー代表ナインゴランがレギュラー格で掲載されているので、そこだけは残念。

footballista ワールドカップ選手名鑑
Rakuten 849円(税込)
https://books.rakuten.co.jp/rb/15490267/

Amazon 1300円前後
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07BZBCWMZ/

PS.ワールドサッカーダイジェストの名鑑も、時間があればチラっとやるかも。しないかも。


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